歯周病の原因とは?
知らないと危険なポイント
歯周病は、日本人が歯を失う二大原因の一つといわれているにもかかわらず、その原因や仕組みについて正しく理解している人は少ないかもしれません。
初期段階では痛みがほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうのが歯周病の大きな特徴で、歯肉が腫れる、出血するなどの症状があっても「疲れているだけ」と思って放置してしまうケースも見られます。
しかし歯周病は、生活習慣や口腔環境が深く関わる予防できる病気です。原因を知り、正しい対策を行えば、進行を防ぐことができます。
この記事では、歯周病の主な原因から、気をつけたい生活習慣、改善のためのポイントまで分かりやすく解説します。
歯周病とは、
細菌による炎症性の疾患
プラークの中の細菌が原因
歯周病の最も基本的な原因は、口の中に残ったプラークに含まれる細菌です。
プラークは白くねばついた汚れで、歯の表面に強く付着します。
1mg中に1億個もの細菌がいるといわれていて、歯磨きを怠ると8時間ほどで形成されます。
これらの細菌は歯肉の溝に侵入し、毒素を出して炎症を起こします。
初期では軽度の出血や腫れだけですが、放置すると歯周病へと進行します。
嫌気性細菌の増殖
歯周ポケットが深くなるほど、そこは酸素の少ない環境となり、歯周病菌である嫌気性細菌が増えやすくなります。
この細菌は酸素を嫌うため、ポケットの奥へ奥へと進み、毒素や酵素を出して周りの組織を破壊します。
炎症が進行すると歯肉の奥にある歯槽骨に炎症が広がり、骨吸収が起こります。
結果として歯を支える骨がなくなり、重度になると脱落に至ることもあります。
歯石と歯周病
プラークは数日で石灰化し、歯石になります。
歯肉の上に形成される歯石を歯肉縁上歯石と呼び、歯周ポケットの奥深くにも形成される歯石を歯肉縁下歯石と呼びます。
歯石自体に細菌は含まれておらず、病原性はありませんが、特に歯肉縁下歯石はその付着位置から、歯周病の炎症を悪化させる原因となることがあります。
また、歯石の表面がザラついていることで、細菌付着の足がかりになることも多く、炎症の悪循環が続きます。
歯石は家庭のケアでは取れないため、定期的な歯科クリーニングが不可欠です。
歯周ポケットが深くなる
炎症が続くと歯肉の組織が破壊され、歯と歯肉の間にさらに深い溝(歯周ポケット)が形成されます。
深くなるほど内部はより快適な細菌の住処となり、歯ブラシの毛先が届かなくなります。
治療しないまま放置するとポケットはさらに深くなり、歯周病は慢性的に悪化します。
生活習慣による影響
ブラッシング不足
歯を十分に磨けていないと、プラークが日常的に残ってしまい、歯周病が発症しやすくなります。
特に奥歯の内側や歯と歯の間は汚れが残りやすく、自分では磨けているつもりでも実際には磨けていないケースが多くみられます。
適切なブラシの持ち方や動かし方、歯間ブラシ、フロスの併用など、正しいセルフケアの習得がとても重要です。
口腔乾燥
唾液には細菌の増殖を抑える作用や、汚れを洗い流す自浄作用があるため、唾液が減ると細菌が一気に増加し、歯周病リスクが高くなります。
加齢や口呼吸など、口腔乾燥につながる原因がある方は注意が必要です。
生活習慣による免疫力の低下
歯周病は細菌によって起こる感染症であり、体の免疫力が大きく関わっています。
睡眠不足やストレスの蓄積、栄養バランスの偏り、運動不足などが続くと免疫力が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。
免疫がうまく機能しない状態では、通常なら抑えられるはずの炎症が悪化しやすく、歯肉の腫れや出血が長引く原因につながります。
疲れた時に歯肉が痛む、出血があるという方は要注意です。
喫煙
喫煙は歯周病の発症、進行に大きく影響する要因です。
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させ、歯肉への血流を低下させます。血流が悪くなると歯肉に栄養や酸素が十分に行き届かなくなり、細菌に対する抵抗力が大きく落ち込みます。
この状態では炎症が起きても腫れや出血といった自覚症状が感じにくく、本人が気付かないまま深刻な歯周病へ進行してしまうケースも多く見られます。
さらに喫煙者は治癒反応が鈍く、治療しても改善が遅れることがあります。
禁煙するだけでも歯周病の進行を抑え、治療効果が高まるため、歯周病対策として重要な生活改善の一つです。
全身状態との関係
糖尿病との相互関係
糖尿病と歯周病は双方向性の関係にあります。
糖尿病では血糖値が高い状態が続くため、免疫細胞の働きが弱まり、細菌感染に対する抵抗力が低下します。そのため歯周病が悪化しやすくなります。
また、進行した歯周病は体内に慢性炎症を引き起こし、インスリンの働きを妨害するため、糖尿病自体も悪化しやすくなります。
歯周病治療によって血糖コントロールが改善するケースも報告されており、医科と歯科の連携が重要な疾患です。
女性ホルモンの影響
女性は思春期、妊娠期、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期に歯肉が炎症を起こしやすくなります。
特に妊娠中は、女性ホルモンを好む歯周病菌が増えるため、妊娠性歯肉炎が発症しやすくなります。
妊娠期の炎症が重度になると早産リスクに関係する可能性も指摘されており、妊婦健診や定期的なクリーニングがとても大切です。
加齢による影響
加齢によって免疫力や唾液の分泌が低下し、歯肉の再生能力も衰えます。そのため、同じ生活をしていても若い頃より歯周病になりやすくなります。
また、長年の噛みしめや歯ぎしりの癖、合わない被せ物の放置など、過去の蓄積も影響し、知らない間に歯周病が進行しているケースも多くみられます。
定期検診でのチェックが欠かせない理由の一つです。
歯並び、噛み合わせによる
影響
清掃性が良くない
歯並びが乱れていると、歯ブラシが届きにくい場所が多くなり、汚れが蓄積しやすくなります。
特に叢生などがある場合、歯と歯が重なり合っている部分はプラークが溜まりやすく、歯周病のリスクが高くなります。
過剰な力がかかりやすい
噛み合わせが乱れていると、一部の歯に強い負担がかかり続けます。これを咬合性外傷といいます。
咬合性外傷は歯周組織に大きなダメージとなり、歯肉の炎症を悪化させ、歯を支える骨の吸収を早めてしまうことがあります。
歯周病が軽度であっても、過剰な力が加わることで急速に進行し、短期間で歯が動いたり揺れたりするケースも見られます。
噛み合わせの調整やマウスピースによる保護が必要になることもあります。
歯周病を防ぐためにできること
正しいブラッシングと歯間ケア
歯周病予防の基本は毎日のセルフケアです。
歯ブラシだけでは歯の汚れの約6割しか除去できないといわれており、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、しっかりとプラークを取り除けます。
また、ブラッシングは力任せに磨くのではなく、毛先を歯と歯肉の境目に当てて小刻みに動かすことが重要です。
磨き残しが気になる方や自信がない方は、歯科医院でブラッシング指導を受けると、自分の歯並びに合った磨き方を知ることができます。
定期的なメンテナンス
3ヶ月〜6ヶ月ごとの歯科定期検診は、歯周病予防に欠かせません。
家庭でのセルフケアでは落としきれない歯石やバイオフィルムには、歯科医院でのクリーニングが必要です。
また、歯周ポケットの深さや歯肉の炎症状態を定期的にチェックすることで、初期段階の歯周病を見逃さず、悪化する前にしっかり対応できます。
症状がない状態でも通い続けることが、歯の健康を守るポイントです。
生活習慣の改善
歯周病は生活習慣病の一面も持っており、生活習慣の見直しは欠かせません。
バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動は免疫力を維持し、細菌に対抗できる体づくりにつながります。
また、ストレスをため込み過ぎると免疫力低下を招く可能性があるため、リラックスできる時間をつくることも歯周病予防に役立ちます。
「歯周病を防ぐ正しい歯磨きの方法とコツ」を詳しく見る
よくある質問
Q. 歯周病の主な原因には
どのようなものがありますか?
細菌や生活習慣など具体的に
教えてください。
主な原因は、プラークに潜む歯周病菌で、プラークは日常の磨き残しによって蓄積します。
さらに、喫煙や口呼吸、ストレス、糖尿病、睡眠不足など、生活習慣や全身の状態が悪化すると細菌に対する抵抗力が弱くなり、歯周病が進行しやすくなります。
歯並びの乱れがある場合も汚れがたまりやすく悪化要因となるため、複数の要因が重なることで歯周病が一気に進むケースも少なくありません。
Q. 歯周病になりやすい
生活習慣やリスク要因には
どのようなものがありますか?
磨き残しが続く習慣、睡眠不足、喫煙、長期間の口呼吸、ストレスによる免疫力低下などが代表的なリスク要因です。
また、歯ぎしりや食いしばりの癖は歯肉や骨に強い負担をかけ、炎症を悪化させやすくします。
特に喫煙とストレスは発症、悪化、治りにくさの三つに関わっており、生活背景によっては若くても歯周病が進行することがあります。
Q. 歯周病を防ぐために、
特に気をつけるべき点や
注意ポイントは何ですか?
毎日の歯磨きに加え、歯間ブラシやフロスで細部の汚れを取り除くことが非常に重要です。
さらに、3ヶ月〜6ヶ月ごとの定期検診で歯石を除去し、歯周ポケットの状態を確認することで早期の対策が可能になります。
継続してケアを続けることが、将来の歯を守ります。
歯周病の原因をなくして
健やかに
歯周病は痛みが少なく、気づかないうちに進行してしまう厄介な病気です。細菌が主な原因で、そこに生活習慣、全身状態、口腔環境などさまざまな要因が重なり合って発症、進行します。
しかし裏を返せば、原因を理解し、ケアを行うことで歯周病は十分に予防できる病気でもあります。毎日のセルフケアを見直し、定期的な歯科検診を続けることで、歯周病を防ぐことができます。
歯肉の違和感や出血に気づいたら早めに相談し、大切な歯を守る行動を始めましょう。
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