ゴムかけが必要になる理由

インビザラインはマウスピースの力で歯を少しずつ動かす矯正治療ですが、歯の前後関係や上下の噛み合わせを整える動きは、マウスピース単体では力が不足することがあります。

ゴムかけを併用することで、歯に持続的で方向性のある力を加わり、よりさまさまな形での歯の移動が可能になります。

ゴムかけの役割

ゴムかけの主な役割は、上下の歯の位置関係を整えることです。

出っ歯、受け口、噛み合わせのズレなどは、見た目だけでなく、噛む力のバランスや顎への負担にも影響を与えます。

ゴムかけは、こうした問題を改善するために重要な役割を果たします。

ワイヤー矯正との違い

ワイヤー矯正でもゴムかけは行われますが、インビザラインではマウスピースに小さなフックやアタッチメントを装着し、そこにゴムをかけます。

透明な装置を使用するため、ゴムかけをしていても比較的目立ちにくい点が特徴です。

Ⅱ級ゴム

上の前歯が前に出ている出っ歯傾向の方に用いられるゴムです。

上の前歯と下の奥歯をつなぐように装着するケースが多く、上の歯を後ろへ、下の歯を前へ動かす力が加わります。

見た目の突出感を改善するだけでなく、噛み合わせの前後バランスを整える目的もあります。

軽度から中等度の出っ歯症例で使用されることが多く、マウスピース単体では難しい前後移動を補助します。

Ⅲ級ゴム

受け口傾向の方に使用されるゴムで、下の前歯と上の奥歯をつなぐように装着します。

下の歯を後ろへ、上の歯を前へ動かす力が働き、上下の噛み合わせのズレを改善します。

骨格的な要因が強い場合には限界がありますが、歯の位置関係による軽度から中等度の受け口では効果が期待できます。

垂直ゴム

上下の歯の噛み合わせを深くするために使用されるゴムです。

前歯が噛み合わない開咬の症例や、上下の歯がすれ違っているような噛み合わせに対して用いられます。

歯を上下方向に引き寄せる力が加わるため、咀嚼機能の改善にもつながります。

装着する位置

ゴムは歯やマウスピースに取り付けられたフック、または歯の表面に付けられたアタッチメントに引っかけて装着します。

装着位置は治療計画に基づいて細かく決められており、位置がずれると想定した歯の動きが得られません。

自己流で位置を変えたりせず、必ず歯科医師の指示を正確に守ることが重要です。

ゴムのかけ方

最初は指が慣れず、難しく感じることがありますが、鏡を見ながらゆっくり行えば問題ありません。

専用のフック器具を使用すると、スムーズに装着できる場合もあります。

ゴムを無理に引っ張ると切れる原因になるため、力を入れすぎないよう注意が必要です。

装着時間

基本的には1日20時間以上の装着が必要です。

食事と歯みがきの時間以外は、できるだけゴムをかけた状態を保ちましょう。

装着時間が短くなると、歯の動きが遅れ、治療期間が延びる原因になります。

交換頻度

ゴムは使用しているうちに伸びて弾力が弱くなります。

劣化したゴムでは十分な矯正力がかからないため、1日1回から数回の交換が良いとされます。

外出先で切れた場合に備えて、予備のゴムを持ち歩くと安心です。

噛み合わせが良くなる

ゴムかけによって上下の歯に計画的な力が加わることで、前後や上下の噛み合わせのズレが改善されやすくなります。

噛み合わせが整うことで、食事の際にしっかり噛めるようになるだけでなく、特定の歯や顎に負担が集中するのを防ぐことにもつながります。

見た目の歯並びだけでなく、機能面を仕上げるために重要な効果です。

治療期間の短縮

マウスピース単体では動かしにくい歯の動きを、ゴムかけが補助することで、歯が計画通りに動きやすくなります。

その結果、歯の移動が滞りにくくなり、追加マウスピースや治療計画の修正が少なく済むケースもあります。

装着時間を守ってゴムかけを行うことで、結果的に治療期間の短縮につながることがあります。

後戻り防止につながる

ゴムかけによって噛み合わせが安定すると、治療後に歯が元の位置へ戻ろうとする力が働きにくくなります。

特に上下の歯の位置関係が整うことで、矯正後の安定性が高まり、後戻りのリスクを抑えることができます。

仕上がりの完成度を上げるだけでなく、長期的に歯並びを維持するためにも重要な役割を果たします。

装着を忘れない

ゴムかけを怠ると、歯が計画通りに動かなくなります。

数時間の装着忘れが積み重なることで、治療の進行に大きな影響となることがあります。

自己判断で中断しない

痛みや違和感があっても、自己判断で中止すると治療計画が崩れる原因になります。

気になる症状がある場合は、必ず歯科医師に相談しましょう。

指定されたゴムを使用する

ゴムの強さやサイズは症例や治療段階に合わせて決められています。

自己判断で別のゴムを使用すると、歯や顎に過剰な負担がかかる可能性があります。

痛みや違和感

装着初期は、歯が引っ張られるような感覚や軽い痛みを感じることがあります。

これは歯が実際に動き始めているサインであり、多くの場合は数日から1週間程度で徐々に落ち着いてきます。

痛みが強い場合や長く続く場合は、ゴムの強さや装着方法が合っていない可能性もあるため、無理に我慢せず歯科医師に相談しましょう。

ゴムが切れる

ゴムは細く伸縮性があるため、装着時に無理な力を加えると切れてしまうことがあります。

特に慣れないうちは切れやすいため、予備のゴムを持ち歩くと安心です。

頻繁に切れる場合は、かけ方や力の入れ方を見直す必要があります。

口内炎

フックやゴムが頬や唇の内側、歯肉などの粘膜に当たり、口内炎ができることがあります。

特に装着初期は、口の中が慣れていないため起こりやすい傾向があります。

気になる場合は、矯正用ワックスを使用したり、歯科医院で当たり具合を調整してもらうと改善することがあります。

見た目が気になる

会話や笑ったときにゴムが見えることがあり、気になってしまう方もいます。

ただし、ゴムは小さく目立ちにくいため、周囲が気づくことは意外と少なく、多くの方は次第に慣れていきます。

治療が進めばゴムかけの期間が終了するケースも多いため、一時的なものと考えるとよいでしょう。

生活の中で習慣化する

歯みがき後やマウスピースを装着するタイミングで必ずゴムをかけるなど、毎日の流れに組み込むことが大切です。

習慣化することで装着忘れを防ぎ、安定した矯正力を維持できます。

鏡で位置を確認する

ゴムが正しいフックやアタッチメントにかかっているか、毎回鏡で確認しましょう。

位置がずれていると、想定した歯の動きが得られず、治療の進行が遅れる原因になります。

予備のゴムを携帯する

外出先でゴムが切れたり外れたりすることは珍しくありません。

バッグやポーチに予備のゴムを入れておくことで、装着できない時間を最小限に抑えられます。

インビザラインのゴムかけとはどのようなものですか？
使用方法や装着場所について教えてください。

インビザラインのゴムかけは、上下の歯やマウスピースに付けられたフックに医療用ゴムをかけ、歯に補助的な力を加える方法です。

装着場所やゴムの種類は症例ごとに異なり、治療計画に基づいて細かく指定されます。

正しい位置に装着することが、治療効果を得るために重要です。

ゴムかけを行うことで、どのような効果や歯の動きが期待できますか？

上下の噛み合わせの改善、歯の前後移動の促進、マウスピースだけでは難しい動きの補助などができます。

ゴムかけを正しく行うことで、歯が計画通りに動きやすくなり、治療期間の短縮につながる場合もあります。

ゴムかけをする際の注意点や、トラブルを避けるためのポイントは何ですか？

装着時間を守ること、自己判断で中断しないこと、歯科医師から指示されたゴムを正しく使用することが大切です。

痛みや違和感、口内炎など気になる症状がある場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。